自治体の財政分析を基本から理解する。

 

ゼロからできる 自治体の財政分析

ゼロからできる 自治体の財政分析

  • 作者:稲沢 克祐
  • 発売日: 2021/01/22
  • メディア: 単行本
 

公共向けに事業を提案したり、分析して施策提言したりしている立場として、財政がどうなっているのかは、かなり重要な領域でありながら、今一つ理解が及んでいなかった。マネタイズが大切ですとか、いってるのにこれではあかんと思い、読むことにした。以前も似たような書籍を手に取ったが本書は理解しやすい構成だった。

 

1章は基本。

自治体も収入と支出があり、施策を打っている。これは企業や家計と同じだが、自治体は住民から税金を払ってもらうことで収入としている点が特徴。単年度ごとに会計を分けることから1歳ごとに違う歳入、歳出と表現する。

行政が税金を何に使うのか住民の意思が反映されているべきであるため、選挙で当選した首長や議会によって承認行為が行われる。税金をなににつかうのかを行政では「予算編成」と呼ぶ。首長がつくった予算編成を議会で審議し、OKが出たら予算議決したことになり、各部署によって予算執行が行われる。

そして予算通り使われたかどうかを決算書を作成することを通じて確認することを、決算調整という。

 

総額に対し何に使われたのか費目別にわけて整理するフォーマットを、会計というが、行政では、一般会計と特別会計に分けられる。一般会計が通常の事業費が入る本体であり特別会計は特別な目的のために本体から切り離されたもの、介護保険事業会計、国民健康保険事業会計など公営事業会計と呼ばれる。また上下水道事業会計や病院事業会計など公営企業会計もある。

 

一般会計を他の自治体と比較できるよう統計上の処理をしたものを普通会計という。完全に同じではないが、一般会計≒普通会計と理解して差し支えなさそう。そして比較するために人口や産業の特徴が近い他の自治体をグループ化したものを類似団体といい、グループ化がされている。

 

歳入はいろんな項目があるが、主な4種類で8割を占めている。歳入四傑と本書ではいっており、地方税地方交付税、国庫・都道府県支出金、地方債からなる。ここをおさえておけばいいだろう。

 

自主財源は地方税や博物館入館料などの使用料からなり、国や都道府県の依存財源とは分けられる。一般財源は使い道を自治体が決められ、地方税地方交付税が該当し、特別財源は使い道は限定され、国庫・都道府県支出金と地方債からなる。毎年入る経常的財源と一時的な臨時的財源がある。地方税も内訳をみると都市計画税や法定外税など臨時的なものを含まれている。

 

ほかに主な学びとしては、決算カードや類似団体比較カード、財政状況資料集などがある。財政分析は、自治体の財政を、財政規模、財政力、収支健全性、弾力性、持続可能性といった5つの視点で分析をする。分析は基本的には類似団体や経年での財政指標の比較から行い、財政状況資料集などには財政課の分析コメントが付されているのでそのあたりをおさえればOK。

 

保有する公共インフラなどのアセットについては数や大きさ、老朽度合いをストック情報分析表や総合管理計画から把握することが可能である。