辞書づくりへの多様な携わり方
第七版の予約特典「広辞苑をつくるひと」 (三浦しをん著)を読んだ。
著者は辞書づくりをテーマとする「舟を編む」の三浦しをんさんだ。
本書は、広辞苑を作っている5つの異なる立場からその仕事の仔細を追っている。
①言葉の意味を考える人
②印刷する文字をデザインする人
③図版を考案する人
④函(ハコ)を作る人
⑤製本する人
①では、見出し語に対し語釈、用例を検討する。「炒める」は焼くことだが、ハンバーグは炒めない。研究者たちが、「安定の〇〇」という使い方に敏感になっている様子が面白かった。なにげなく使っているこうした言葉もどういう意味か、語釈、用例を考えてみるのも面白いかもと思った。
②字体に対する赤入れが、面白い。どういう理屈で線が弱いだの強いだの決めているのだろうか。
③オパビニアの図版づくりがどのように行われているか。ヘリコプリオンの図版は歯の化石から全身を想像してかいているらしいということ。わからないものを想像しながら書くなんて、なかなかできる仕事ではない。
④、⑤ 道具と機械の中間のような印刷機など、面白い表現でレポートされている。